先日、はじめてハードカバーの本の装丁画を描かせていただきました。
「命のカレンダー 小児固形がんと闘う」松永正訓著/講談社
原稿を読みすすめるうちにどうしても、
「もしわが子がこうなったら・・・」と思って読んでしまい、
それはとても辛い作業でもありました。
泣きながら仕事をするなんて、はじめてでした。
親より先に旅立つわが子に、
こんなに短い人生なのに私を親に選んでくれてありがとうと、
ちゃんと言えるだろうか。
でも、どんなに辛くても、もっと辛いわが子を支えられなくてどうする?
親なんだから・・・。
いろんな思いが湧いてきて、時には座っていても倒れそうな、
そんな感覚にもなりました。
でも、ここに描かれているのは死ではなく、
短いけれども懸命に生きたこどもたちの姿です。
そして今も、これからもずっと、
出会った人達の心の中で永遠に生き続けるこどもたちの姿です。
だからこそ輝くこどもたちと、そのご家族に
恥ずかしくない絵を描かなければいけないという思いも強くなっていきました。
私は私の役割が果たせたでしょうか。
それにしても、医者という仕事の、なんと大きくて重いこと・・・
著者である松永先生と、こども達やご家族との間には、
医者と患者であることを超えた人間としての強い信頼関係があります。
もしかしたら、どんな最先端の治療より、
これこそが一番大事なことなのかもしれません。
キラキラ輝く素敵な表紙に私の絵を選んでくださった装丁家の小林はるひさんと、
私にこのお仕事をご依頼くださった講談社の澤英子さんに感謝します。
(余談ですが、著者の松永正訓先生は私と同い年です)